早稲田大学理工学術院河合隆史研究室と空中像ディスプレイのユーザ体験に関する共同研究の成果を発表
■共同研究概要
当社は、屋内外の公共空間などに空中像を提示する3D Phantomの社会実装に取り組んでまいりました。
この度、先端メディアと人間工学の研究に取り組んでいる早稲田大学理工学術院河合隆史教授の研究室と、ユーザ体験の観点から3D Phantomの特徴を検証すべく、共同研究を開始しました。
本研究の成果は、2022年7月30日(土)~31日(日)に広島県尾道市で開催された日本人間工学会第63回大会にて発表しました。
本研究における実験イメージ:実験参加者は脳活動計測装置および視線計測装置を装着し、3D Phantomによる空中像を観察した。
■共同研究の背景
近年、屋内外の公共空間などで空中像を提示するディスプレイの社会実装が、サイネージの分野を中心に進んでいます。
これらのディスプレイの多くは、LEDの配置された十字のバー(ブレード)が高速回転することで画像を提示しており、ブレード型と分類され、3Dファントムもその1種となります。
ブレード型のディスプレイでは、主要な対象以外を黒に設定することで、背面の風景が透過するため、観察者に対して対象が空中に浮遊しているような感覚を生起する点に特徴があります。
一方で、こうした空中像が従来のディスプレイに比べ、ユーザ体験の観点からどのような影響を及ぼしているかについては、明らかとなっていませんでした。
左がブレードで、高速回転により空中像を提示する(中央)。黒くした部分の背景が透過するため、像が空中に浮遊しているように見える。右は通常のディスプレイであり、画面の範囲は遮蔽されている。
■共同研究で得られた成果
人間工学的なアプローチを用いた実験の結果から、「空中像ならでは」の快適で好ましいコンテンツが存在すること、また、その立体感によって、従来のディスプレイに比べて心理・生理的な活性化を促す可能性があることなどが示唆されました。
本研究の成果として、空中像のコンテンツ制作や利活用における、方向性や展望にかかる基礎的な知見を得ることができました。
今後も当社は、今回得られた知見に基づいて研究開発を進めるとともに、各種公共空間における空中像ディスプレイの活用と、ユーザへの価値提供に取り組んでまいります。